世界リスニングデー(7月18日

世界リスニングデーのイメージ画像

世界リスニングデーは、毎年7月18日に行われる、身の回りの音や「聴くこと」の大切さに目を向ける国際的な記念日です。英語では「World Listening Day」と呼ばれ、音を通して自然環境や社会、文化への理解を深める活動を行うWorld Listening Projectによって、2010年に始まりました。

由来

7月18日という日付は、カナダの作曲家、音楽教育者、著述家であるR・マリー・シェーファー(R. Murray Schafer)の誕生日に由来します。シェーファーは1933年7月18日にカナダ・オンタリオ州サーニアで生まれ、音と人間、環境の関係を研究する「アコースティック・エコロジー」の発展に大きな影響を与えました。

シェーファーが指揮したWorld Soundscape Projectでは、地域や自然の中に存在する音を記録・分析し、環境の変化と音の関係を研究しました。こうした活動は、音を単なる背景として扱うのではなく、その土地の暮らしや文化を伝える重要な要素として捉える「サウンドスケープ」の考え方を広めるきっかけとなりました。

世界リスニングデーの目的

世界リスニングデーは、音楽を鑑賞することだけを目的とした日ではありません。鳥や虫の声、風や雨の音、街を走る車、鉄道、工事、店内の会話など、日常を構成しているさまざまな音に意識を向け、周囲の環境をあらためて理解することを目指しています。

World Listening Projectは、積極的に耳を傾ける「アクティブ・リスニング」やアコースティック・エコロジーを通して、音が人々の生活や自然環境、社会、文化の理解にどのような役割を果たしているのかを考える機会を提供しています。世界各地では毎年テーマが設けられ、それに沿った催しや作品発表が行われています。

代表的な取り組み

世界リスニングデーには、専門的な知識がなくても参加できる、音をテーマとしたさまざまな活動が行われます。

  • サウンドウォーク:会話を控えながら地域を歩き、周囲から聞こえる音に注意を向けます。
  • フィールド録音:自然や街の音を録音し、その場所の音環境を記録します。
  • 音の地図づくり:録音した場所や特徴的な音を地図上に整理します。
  • ワークショップ:音環境や騒音、自然音、聴く行為について参加者同士で考えます。
  • 音響作品の発表:環境音を取り入れた音楽やサウンドアート、映像作品などを紹介します。

サウンドスケープとは

サウンドスケープは、「サウンド」と「ランドスケープ」を組み合わせた言葉で、日本語では「音の風景」や「音風景」と表現されます。目に見える景色だけでなく、その場所で聞こえる音も含めて環境を捉える考え方です。

同じ場所であっても、朝と夜、平日と休日、季節や天候によって聞こえる音は変化します。昔から親しまれてきた祭りの音や鐘の音が失われる一方、新しい交通機関や設備の音が加わることもあります。音を記録して比較することは、地域の自然や暮らし、産業、文化の変化を知る手がかりにもなります。

身近にできる楽しみ方

世界リスニングデーは、静かな場所に出かけなくても参加できます。数分間スマートフォンなどから離れ、聞こえてくる音を一つずつ数えるだけでも、普段は意識していなかった音に気づくことができます。

  1. 安全な場所で立ち止まり、目を閉じるか視線を一点に向けます。
  2. 近くの音と遠くの音を分けて聴きます。
  3. 自然の音、人が生み出す音、機械の音を探します。
  4. 心地よい音と気になる音を記録します。
  5. 時間や場所を変え、聞こえ方の違いを比べます。

豆知識

  • 世界リスニングデーは国連が制定した国際デーではなく、World Listening Projectを中心に世界各地へ広がった記念日です。
  • 第1回は2010年に行われ、その後も毎年7月18日を中心に関連企画が実施されています。
  • R・マリー・シェーファーは、World Soundscape Projectを率い、サウンドスケープ研究やアコースティック・エコロジーの基礎となる考え方を発展させました。
  • サウンドウォークは、特別な機材を使わず、自分の耳で音環境を観察できる代表的な活動です。
  • フィールド録音は芸術作品の制作だけでなく、生物の調査、地域文化の記録、環境変化の把握などにも活用されています。

出典

  • World Listening Project「World Listening Day」
  • World Listening Project「World Listening Day 2021: The Unquiet Earth」
  • IRCAM「Biographie - R. Murray Schafer」