せんべろ忌(7月26日)

せんべろ忌は、作家・劇作家・エッセイストとして幅広く活躍した中島らもをしのぶ、7月26日の忌日です。中島らもは2004年7月26日、階段からの転落による脳挫傷と外傷性脳内血腫のため、52歳で亡くなりました。
由来
「せんべろ忌」という呼び名は、中島らもが酒場や酒にまつわる文化と深い関わりを持っていたことにちなんでいます。
「せんべろ」とは、一般に「千円ほどの予算で、べろべろに酔えるほど酒を楽しむこと」や、そのように安く飲める酒場を表す俗語です。中島らもは編集者の小堀純とともに、安く酒を楽しめる店を訪ね歩く内容の著書『せんべろ探偵が行く』を刊行しています。
このため、命日の7月26日は、作品や酒場文化を通して中島らもを思い出す日として「せんべろ忌」と呼ばれるようになりました。ただし、公的機関や記念日登録団体が制定した記念日というより、読者や関係者の間で使われている通称と考えるのが適切です。
中島らもとは
中島らもは1952年4月3日、兵庫県尼崎市に生まれました。大阪芸術大学放送学科を卒業後、コピーライターとして活動し、広告制作の分野で独特のユーモアを発揮しました。
1984年から朝日新聞で連載した「明るい悩み相談室」によって広く知られるようになり、その後は小説、エッセイ、脚本、演劇、落語、ラジオ、音楽など、さまざまな分野で活動しました。劇団を率いて舞台作品を発表する一方、ロックバンドのボーカルやギターも担当しています。
代表作と受賞歴
中島らもの代表作の一つが、自身のアルコール依存症の体験を題材にした小説『今夜、すべてのバーで』です。同作は1992年に第13回吉川英治文学新人賞を受賞しました。
1994年には、アフリカの呪術や宗教、家族の問題を描いた長編小説『ガダラの豚』で、第47回日本推理作家協会賞の長編賞を受賞しています。
- 『今夜、すべてのバーで』
- 『ガダラの豚』
- 『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』
- 『頭の中がカユいんだ』
- 『せんべろ探偵が行く』
- 「明るい悩み相談室」シリーズ
作品に描かれた酒と人間の弱さ
中島らもの作品には、酒や依存症、うつ病、生きづらさなど、自身の体験とも重なる題材がたびたび登場します。深刻なテーマを扱いながらも、軽妙なユーモアと人間への温かなまなざしを失わない文章が、多くの読者に支持されました。
酒についても単純に美化するのではなく、楽しさと危うさ、依存する人間の弱さを率直に描いています。『今夜、すべてのバーで』は、アルコール依存症の治療や入院生活を題材にしながら、人が抱える孤独や苦しみを描いた作品として読み継がれています。
せんべろ忌の過ごし方
せんべろ忌には、中島らもの小説やエッセイを読み返したり、出演した舞台や音楽活動を振り返ったりして、その多彩な表現に触れるのも一つの過ごし方です。
酒を楽しむ場合も、中島らもの作品が描いた酒の魅力と危うさの両面を意識し、無理のない範囲で味わうことが大切です。酒を飲まない人にとっても、作品を通じて人間の弱さや生き方について考える日にできます。
豆知識
- 中島らもの本名は中島裕之で、読み方は「なかじま・ゆうし」です。
- 1952年4月3日に兵庫県尼崎市で生まれ、2004年7月26日に52歳で亡くなりました。
- 小説家だけでなく、コピーライター、劇作家、俳優、ラジオパーソナリティ、ミュージシャンとしても活動しました。
- 「せんべろ忌」は、公的に制定・登録された記念日ではなく、中島らもの命日を表す通称として紹介されています。
- 「せんべろ」という言葉は、千円程度で酒を十分に楽しめることや、そのような価格帯の酒場を表します。