人身取引反対世界デー(7月30日)

人身取引反対世界デーは、毎年7月30日に行われる国際デーです。人身取引の被害に置かれている人々の状況について理解を広げ、被害者の権利の促進と保護、犯罪の防止、加害者の処罰、被害者への支援を世界各国に呼びかける日とされています。
由来
人身取引反対世界デーは、2013年12月18日に国連総会で採択された決議「A/RES/68/192」によって定められました。国連における英語の正式名称は「World Day against Trafficking in Persons」です。
決議では、人身取引被害者が置かれている状況への認識を高め、その権利を促進・保護する必要があるとして、7月30日を毎年の国際デーに指定しました。最初の記念日は2014年7月30日に実施されています。
人身取引とは
人身取引とは、搾取を目的として、暴力や脅迫、誘拐、詐欺、欺罔、権力や弱い立場の悪用などの手段を用い、人を募集、移送、引き渡し、かくまい、受け入れる行為を指します。
搾取の形態には、性的搾取だけでなく、強制労働、家事労働における搾取、強制結婚、物乞いの強制、犯罪行為への強要、臓器の摘出などが含まれる場合があります。国境を越えて移動させる事例に限らず、同じ国内や地域内で被害が発生することもあります。
国際的な取り組み
人身取引への国際的な対策の基盤となっているのが、2000年に国連で採択された「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」を補足する人身取引議定書です。一般に「パレルモ議定書」とも呼ばれ、人身取引の防止と処罰、特に女性と子どもの保護を目的としています。
国連薬物・犯罪事務所をはじめとする国際機関、各国政府、警察・司法機関、支援団体などは、人身取引の予防、被害者の発見と保護、加害者の訴追、国境を越えた協力に取り組んでいます。
被害が見えにくい理由
人身取引の被害者は、暴力や報復への恐怖、借金による拘束、身分証明書の取り上げ、言葉の壁、在留資格への不安、加害者による監視などによって、助けを求めにくい状況に置かれることがあります。
また、本人が置かれている状況を人身取引の被害だと認識していない場合や、周囲から通常の雇用・労働関係に見える場合もあります。そのため、被害を受けた本人だけに救助を求める責任を負わせず、行政、捜査機関、医療・福祉関係者、企業、市民が兆候を理解することが重要です。
私たちにできること
- 人身取引が性的搾取だけでなく、強制労働や犯罪への強要など、さまざまな形で起こり得ることを知る。
- 極端に不自由な労働環境や、脅迫、監視、身分証明書の取り上げなど、搾取の兆候に関心を持つ。
- 被害を受けた人を責めたり、本人の同意だけを理由に被害を否定したりしない。
- 危険が疑われる場合は、無理に当事者や加害者へ接触せず、警察や専門的な相談窓口へつなぐ。
- 商品やサービスの背景にある労働環境や、企業の人権尊重に関する取り組みに関心を持つ。
豆知識
- 人身取引反対世界デーは、国連総会が2013年に指定し、2014年から毎年実施されている国際デーです。
- 人身取引は、被害者を必ずしも外国へ移動させる犯罪ではなく、国内で成立する場合もあります。
- 子どもの人身取引では、国際的な定義上、成人の場合と異なり、暴力や詐欺などの手段が使われたことを立証しなくても、搾取を目的とする行為が人身取引に該当することがあります。
- 密入国・不法移民のあっせんと人身取引は同じものではありません。人身取引では、被害者に対する搾取が中心的な要素となります。
出典
- 国際連合「World Day against Trafficking in Persons」
- 国際連合総会決議「A/RES/68/192」
- 国際連合「Protocol to Prevent, Suppress and Punish Trafficking in Persons, Especially Women and Children」