強制失踪被害者のための国際デー(8月30日

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強制失踪被害者のための国際デーは、毎年8月30日に設けられている国連の国際デーです。国家機関などが関与して人を拘束・連行し、その事実や所在を認めず、法の保護から切り離す「強制失踪」の被害に目を向け、被害者と家族の権利を守ること、真相究明や再発防止を進めることの重要性を世界に訴える日です。

由来

国連総会は2010年12月21日、決議65/209を採択し、8月30日を「強制失踪被害者のための国際デー(International Day of the Victims of Enforced Disappearances)」とすることを決定しました。国際デーとしての実施は2011年から始まっています。

決議では、世界各地で強制失踪や非自発的失踪が発生していることに加え、失踪事件の証人や失踪した人の家族に対する嫌がらせ、虐待、脅迫などが報告されていることにも深い懸念が示されました。

なお、8月30日は国連が国際デーとして正式に定める以前から、市民社会や被害者の家族などによって、強制失踪の問題を訴える日として世界各地で記念されていました。こうした活動を背景に、国連総会が国際デーとして正式に位置付けました。

強制失踪とは

「強制失踪」とは、単に人の行方が分からなくなる一般的な失踪とは異なります。国連の「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」では、国家機関の職員、または国家の許可・支援・黙認を受けた者などによって逮捕、拘禁、拉致などの自由の剥奪が行われ、その後、その拘束自体を認めなかったり、本人の運命や所在を隠したりすることで、その人を法の保護の外に置く行為とされています。

そのため強制失踪では、自由や身体の安全だけでなく、法の前に人として認められる権利、拷問などを受けない権利、公正な裁判を受ける権利など、さまざまな基本的人権が同時に侵害される危険があります。状況によっては生命そのものが脅かされる重大な人権問題となります。

被害は本人だけにとどまらない

強制失踪の深刻さは、連れ去られた本人だけでなく、その家族や周囲の人々にも長期間にわたって影響を及ぼす点にあります。

家族は、本人が生きているのか、どこに拘束されているのか、どのような状態にあるのかさえ分からないまま生活を続けなければならないことがあります。死亡が確認された場合とも異なり、真相が分からない状態が続くため、精神的な苦痛や不安も長期化しやすくなります。

国連はさらに、強制失踪が社会に恐怖を広げる手段として利用されてきたことを指摘しています。失踪させられるかもしれないという恐怖は、本人や近親者だけではなく、地域社会や社会全体に不安を広げ、政治的な反対意見や人権活動などを萎縮させる原因にもなり得ます。

「真実を知る権利」も重要なテーマ

強制失踪をめぐっては、失踪した人の所在を明らかにするだけでなく、何が起きたのかを知る権利も重要視されています。

被害者や家族には、失踪に至った事情、捜査や調査の進展、その結果、そして失踪した人の運命や所在について真実を知ることが重要です。そのため国際社会では、被害者の捜索、事件の調査、責任者の処罰、被害回復や補償といった取り組みが求められています。

強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約

強制失踪を防止するための重要な国際的枠組みが、「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」です。

この条約は2006年12月20日に国連総会で採択され、必要な批准国数に達したことから2010年12月23日に発効しました。強制失踪を防止し、被害者を保護するとともに、失踪事件について調査し、責任を明らかにしていくための国際的な法的枠組みとなっています。

また、強制失踪が一般市民に対する広範または組織的な攻撃の一環として行われる場合には、国際法上の「人道に対する犯罪」となり得る極めて重大な行為です。

この国際デーが伝えること

8月30日の「強制失踪被害者のための国際デー」は、失踪した人々を忘れないためだけの日ではありません。現在も続く強制失踪を防ぎ、被害者を捜索し、家族が真実を知ることができる社会を実現するための日でもあります。

国家による拘束や失踪が秘密のまま処理されることを許さず、すべての人が法の保護を受けられるようにすること。そして被害者と家族が真実、正義、救済を求める権利を守ることが、この国際デーの中心的な目的となっています。

豆知識

  • 8月30日は、国連による制定以前から、市民社会や強制失踪被害者の家族などによって記念されてきた日です。
  • 国連総会が国際デーとして正式に宣言したのは2010年12月21日で、国際デーとしての実施は2011年からです。
  • 「強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約」は2006年12月20日に採択され、2010年12月23日に発効しました。
  • 強制失踪は一般的な行方不明とは異なり、国家機関などによる自由の剥奪と、その事実や所在の否認・隠蔽によって本人を法の保護の外に置くことが重要な要素です。
  • 被害者本人だけでなく、所在や安否を知らされない家族、地域社会にも長期的な恐怖や不安をもたらす人権問題です。

出典

国際連合「International Day of the Victims of Enforced Disappearances」、国連総会決議A/RES/65/209、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国連条約集の資料をもとに構成しています。